二本足で立つ人類は、動物たちと比べ、お尻の病気とは縁が深いようです。
ギリシャ時代の医聖ヒポクラテスは、痔に関して、驚くほど先駆的な業績を残し、以後、近代に至るまで進歩がなかったほどであります。
依頼、さまざまな痔主の記録が残っております。
科学の国、フランスのルイ14世は、痔ろうをわずらい、無麻酔で、痛みに耐え三、四回の切開手術を受け、見事克服されています。
国王の苦悶の声を耳にしつつも勇気を持って手術治療した侍医こそ偉大と思います。
ナポレオンは、ワーテルローの戦いの数日前に外痔核になり、それによる激痛のため、鋭い判断力が鈍って戦いに負けたとか。
現在のような治療法があれば、ナポレオンの天下は何年も続いていたかもしれません。
『奥の細道』を残した松尾芭蕉は、実は、切れ痔で、「痛みのあまり、気を失いそうになった」と詠んでいます。
その痛みと、出血、腹痛で西国への旅も延期されました。
文豪、夏目漱石は、『僕の手術は、乃木大将の自殺と同じ位の苦しみあるものとご承知ありて…』と手紙に書いてその辛さを訴えています。
漱石が机にひじを立て、ややうつむきかげんにしている、有名な写真がありますが、あの表情は、痔の痛みに堪えていたのでは、と考えると納得できるでしょうか。
皆さん、今は、どんな痔でも、簡単に痛みも無く治る、幸せな時代です。
早期の治療を受けましょう。