女性には、男性には見られない様々な状態が年齢により現れます。
若い方の場合、生理の前後に下痢や便秘になり、それを反復すると徐々に切れ痔になります。
この場合適切な排便コントロールが重要です。
初期の場合は、血管拡張薬を含んだ軟膏が即効します。
便秘が長く続くと内痔核が発生します。
しかし、その状態のまま妊娠すると、妊娠後期でお腹が大きくなった時やお産時に肛門の静脈がうっ血し、内痔核がパンクして大きな血の塊が肛門の入口に出来て大変な苦しみをきたすことがあります。
その場は即、局所麻酔で血の塊を摘出すれば楽になりますが、それを予防するのが大切です。
痛みが無いのに排便時に血が出るのは内痔核ですから、そうなったら妊娠の前に根本治療を受けることが勧められます。
30歳前後以上の女性特有の痔に、皮垂という状態が見られます。
これは、肛門の前後にできる皮膚のたるみです。
外痔核や切れ痔で一時的に肛門部が腫れ、その後腫れが収まった後にしわとなって残ったものです。
これを気にして受診される方が多いですが、これ自体は害はなく放置しても構いませんが、大きい場合や気になる方は、簡単な外来手術で治ります。
初老期以後に発生するのは、加齢による骨盤肛門筋力の低下による便漏れです。
これは、お産の時に肛門括約筋が損傷を受けることも影響します。
肛門を閉める運動を朝昼晩20回ずつ行うことにより、かなり改善します。
この状態が進行すると、排便時に肛門部が大きく飛び出す、直腸脱となります。
この場合は、手術治療が必要となります。
いずれの場合でも、最適な治療法により、改善、治癒できますので、恥ずかしがらずに受診することをお勧めします。