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痔主さん、間違った自己療法をしていませんか

苦悶の表情で患者さんが受診され、話を聞くと「なんでそうしたの。だから、余計にひどくなったんだよ」と、言いたくなることが度々あります。

 

まず一番多いのが、「急に腫れて痛くなった。押し込んでもまた出てきて、前より悪化した」。

 

これは、血栓性外痔核で、本来、肛門外の皮下に内出血して黒豆状に腫れているもので、押し込むと痛みがよけいに増し、破れたりします。

 

内痔核と誤解し、大きいものを無理やり入れて、激痛状態で来院される方もいます。これなどは簡単な外来手術でうそのように治りますので、何もせずにすぐ受診してください。

 

「数日前よりなんとなく痛かったので、温めていたら、ひどく腫れて痛くなった」。

 

これは肛門周辺膿瘍という、細菌感染の病気で、温めることは、逆効果になります。切開して膿を出す以外の治療法はありません。また、抗生剤だけで治ることはありません。

 

ところが、一時的には、良くなる事があるので、そのまま続けてしまい、慢性化し、複雑痔ろうという進行した症状になることもあります。

 

ただし、肛門周辺膿瘍意外のイボ痔や切れ痔の場合は、温めることで、血流が改善し良い効果が得られます。

 

「たまらなくかゆい。洗ってもぜんぜん良くならず、悪くなる一方だ」。

 

肛門のかゆみは、便や分泌物の刺激によるもので、洗うのは正解です。

 

しかし、石けんでゴシゴシは厳禁です。皮膚を保護する為の大切な皮脂が減少し、無防備な皮膚になり悪化し皮膚がただれてきます。

 

お湯で軽く洗い流してそっとタオルで押すようにふき、皮膚保護作用のある軟こうを塗ってください。

 

「なんとなく便がすっきり出ない。たまに便に血が付くけれど、すぐ治るから、様子を見よう。」

 

こういう人の多くは、内痔核ですが、たまにがんが見つかることがあります。肛門からの出血は、必ず受診が必要です。

 

いずれにしても、以上のような症状が見られたら、自分で何とかしようと思わず、専門医の診察を受けてください。